たとえばこんなときは?(コラム)
普段のセックスの中で気になる行為について、どのくらいHIV感染のリスクがあるのか、どうしたらよりよいセーファーセックスになるのか具体的に考えてみよう。 大きく取り上げたのは「フェラチオ」と「アナルセックス」。それから、みんなが気になっていたり、疑問に思っているいくつかの行為についても、書いてあります。
フェラチオについて
Q1:フェラチオをすることでHIVに感染するの? 「ぜったい大丈夫」ということはない。口の中の粘膜は直腸の粘膜に比べると頑丈にできていて、しかも口の中に入ったものははき出すことができるから、アナルセックスよりもリスクを減らすことはできる。けれども激しいフェラチオで口の粘膜が傷つくこともあるし、歯茎から出血しやすい人は危険だ。フェラチオだけしかしないのに感染したという人もいる。精液やさきばしり液が口の中に入らないようにコンドームをするか、亀頭の部分をなめないフェラがもっとも安全。それでもやっぱりナマで全体をフェラしたいという場合は、できるだけ精液やさきばしり液が口の中に入らないように工夫してみよう。
Q2:口内射精されちゃった場合はどうしたらいいの? 精液はできるだけ早く口から出した方がリスクは下がる。すぐにはき出すこと。そしてすぐにうがいをしよう。飲み込んでしまうと体の中にずっと残ることになるので、感染が起こるリスクが高くなる。
Q3:射精されなければいいの?さきばしり液をなめても大丈夫? 射精の前からさきばしり液は出ている。さきばしり液は精液よりリスクは少ないが、できるだけなめない方がいい。もしなめたら、飲みこまないようにしよう。そして、できるだけ早くうがいをしよう。
Q4:SEX前の歯みがきは? 歯ブラシで歯をみがくと口の中に細かい傷ができて、感染が起こりやすくなる。フェラチオをする前には口をゆすぐだけにしよう。
Q5:口内炎などがあったりノドが痛いときは? 口の中やノドに、炎症や病気があるときは感染が起こりやすい。その時はナマでフェラをしないようにするか、精液やさきばしり液が口の中に入らないようにしよう。
Q6:虫歯は? しみたり痛んだりする虫歯でなければ大丈夫。しかし、痛むことがあったり、歯茎に炎症が起きている場合は、感染が起こりやすい場所になる。
Q7:フェラチオされる側のリスクは? フェラチオする側の口の中に出血がなければ、HIV感染が起こるリスクはない。
アナルセックスについて
Q1:ナマでのアナルセックスはどうしてHIVに感染しやすいの? 直腸の粘膜はとても薄く、挿入のときの摩擦でカンタンに傷がつくので、リスクは高い。しかも、アナルセックスで中出しされた場合、精液を完全に外に出すことができないので、感染が起こるリスクはフェラチオより高くなる。防ぐには、コンドームを正しく*使うのが確実。
*コンドームの正しい使い方: ・使用期限があるので必ず守る ・装着するときに爪を立てない ・先っぽに空気が入らないようにする ・ペニスの皮を下までのばしてコンドームを下までかぶせ、次にたるんだ皮を上にのばしてから根本までしっかりと着ける(理論編を参照) ・二枚重ねにしない
Q2:中出しじゃなければ大丈夫? さきばしり液は射精の前から出ている。精液よりもリスクは少ないが、ぜったいに大丈夫とは言えない。特に、直腸粘膜を傷つけるような激しいセックスをする場合は、さきばしり液でも感染すると考えよう。コンドームは途中や、射精の直前だけではなくて、最初から使うと一番効果的だ。 また、「中出しはやめておこう」と思っていても「ついつい」っていうのが人間なのかもしれない。外で出す寸前にすでに「最初の一発」が中で出されてしまうことだってあるよね。特にラッシュやドラッグを使ったセックスの場合は、こういう判断が鈍りがちになるから気をつけよう。
Q3:挿入前のアナルの準備は? アナル(肛門)はすぐに傷つくので、摩擦が少なくなるようにジェルをたっぷり使おう。ジェルは粘膜を保護する作用もある。アナルはいきなり拡張せずに、ゆっくりと。風呂に入るなどして暖かくしてから拡張した方が、肛門の筋肉がリラックスして皮膚や粘膜がのびやすくなるので、傷つきにくくなる。 浣腸をして直腸の中を洗う人がいるが、粘膜が傷つくのでリスクが高まるとの報告がある。コンドームをしていれば問題はないかもしれないが、破けるなどのトラブルがあった時のために、気をつけた方がいいかもしれない。
Q4:タチのリスクはないの? タチにもリスクはある。アナルセックスをすると、肛門や直腸に傷がついて出血することが多い。また、腸粘膜から出てくる粘液には、出血をしていなくてもHIVが含まれるという報告もある。複数でSEXをする場合には、いろいろな人の精液がウケの直腸の中に残っているかもしれない。ナマでタチをすると、それらの体液が尿道の粘膜に長い時間ついていることになる。ピストン運動を繰り返すことで、尿道の奧まで体液が入ってくる。その場合、タチの尿道の粘膜からHIVの感染が起こる可能性がある。タチのペニスにヒリヒリするような傷があったり、尿道炎やできものができるような性感染症に感染していた場合は、リスクがとても高くなる。 セックス後にオシッコをすることについては、尿道の中の体液を洗い流すという点では理にかなっているが、リスクを下げる保証はない。また、ジェルを使うということには、摩擦を減らすという利点の他に、尿道口からHIVを含む体液が入ってくるのを防ぐという役割もある。でもやはりコンドームを使うことが、タチにとっても確実な予防方法だ。
Q5:中出しされた場合どうしたらいいの? まずは肛門部分をやさしく洗い流そう。それから便をするように、精液が出てくるかためしてみよう。そのときムリにいきまないように。出てきいたら洗い流そう。残念ながら、それ以上はリスクを下げる方法はない。自然に出てくるのを待とう。浣腸すると腸の粘膜を傷つけたり、精液をさらに奧に押しやったりしてしまうので注意しよう。
こんな行為はどうなんだろう?
セックスした時のいろいろな場面で、あとから考えると不安になることってあるよね。結局は検査を受けてみないとわからないんだけど・・・、感染しやすいのか、ほとんど大丈夫なのか、感染リスクをもう一度考えてみよう。
Q1:口内炎があるときにディープキスをしたら?  唾液は大丈夫。口の中に出血がなければ心配はない。
Q2:口内炎があるときにナマでフェラをしたら? 正常なときの粘膜よりもリスクが高い。射精されたらもちろんのこと、さきばしり液でもリスクが高いと考えよう。また、口の中に出血していればリスクが上がるし、フェラをされる側にもリスクが出てくる。 風邪をひいているとき、喉が痛いときなんていうのも、同じように粘膜が弱っていたり,傷ついている可能性が高いんだよ。
Q3:アナルをなめたら? 出血がなければHIVの感染が起こる可能性は少ないが、A型肝炎や赤痢アメーバに感染する可能性がある。
Q4:アナルに指や手を入れたら? 爪が伸びていたり、無理をしたり激しく動かすことで、肛門や直腸の粘膜に傷がつくことがある。その部分に精液やさきばしり液などが触れると、感染が起こりやすくなる。 入れる側は、指や手に傷がなければリスクはないが、皮膚に傷があればリスクが出てくる。しみるような傷があるときは特に、手袋をはめるなどして直接粘膜に接触しないようにしよう。
Q5:相手の精液で自分のペニスをしごいたら? 摩擦によってできた細かい傷の上や、尿道口に精液がつけば、感染リスクがある。精液が長い時間ついていればリスクはさらに高くなる。精液ではなくジェルを使おう。
Q6:指のささくれやあかぎれ、足の裏にできた傷、体毛を剃った後のカミソリ負けに、精液がついた。 出血をしていたり、体液がしみ出てくるような傷、しみるような傷だと感染リスクが高い。逆に乾いていて、しみない傷ならばリスクは低い。また、精液はできるだけ早く洗い流した方がよい。体液と接触する時間は短ければ短いほど、感染リスクは減るからだ。セックス前に、傷は絆創膏(ばんそうこう)でふさいでおこう。
Q7:道具の使い回しは? アナルに入れた道具には、腸粘膜から分泌される粘液や血液がついていることがある。それらを介して感染する可能性がある。道具は使い回さないようにするか、その都度、洗浄しよう。入れる人ごとにコンドームをかぶせるのも良い。少しでもリスクを減らすためには、ジェルをたっぷり使い、粘膜を傷つけないようにしよう。
7.HIV感染のリスクを下げる方法